葬儀と告別式の次第【3】
お別れの儀と出棺
最後のお別れ
告別式が終わると、柩が前に出され、ふたを開け、遺族や近親者が故人と最後の対面をします。これが「お別れの儀」です。このとき祭壇の生花の花の部分だけを、柩の中に入れる慣習があります、これを「別れ花」といいます。
柩の中には、金属、ガラス、プラスティック製のものは入れないようにします。水分の多い果物なども入れません。故人の遺品は、柩に入れず、別の木箱に入れて、納骨のときに一緒に収めたり、指輪や眼鏡などは骨壷に入れるのがいいでしょう。
柩を運び出す
柩のふたを閉めるとき、柩に石で釘を打つ「釘打ち」を行うことがあります、係員が半分ほど打ち込んだ釘を、家族や近親者が、小石でトントンと、一人2回ずつ軽く打つもので、死者への未練を断ち切り、別れを告げる意味があるといわれます。
柩のふたを閉めたら、近親者や友人6人ほどで柩を霊柩車に運び入れます。斎場から霊柩車までは、導師(僧侶)が先頭にたち、次に位牌を持った喪主、その後に遺影を持った家族が続き、柩を先導します。
出棺のあいさつ
柩を霊柩車に納めたら、見送ってくださった人に対して、喪主または遺族代表が、お礼のあいさつをします。
簡潔で良いので、自分の言葉で、感謝の気持ちを述べます。
遺族全員が会葬者に向かって並び、あいさつが終わったら、全員で深く一礼します。
遺族のあいさつ
通夜から葬儀でのあいさつには、本来決まった形式はありません。
大切なのは参列してくれた人や協力してくれた人への感謝の気持ち、また自分のなかにある故人への想いを、きちんと伝えることです。
本来、通夜に喪主のあいさつはありませんでしたが、いまは通夜が告別式化し、弔問客が多く集まるので、あいさつすることも多くなっています。
葬儀の日は、告別式の最後か出棺前に会葬者の前で喪主があいさつします。
また、葬儀後の法要の席でも、招待者の喪主があいさつするのが通例です。
あいさつのポイント
悲しみにただ中にある遺族にとって、参列者の前でなれないあいさつをするのは大変なプレッシャーです。
ですから、短くて構いません。
参列者への感謝と、故人への想いを、だれが聞いてもわかる言葉づかいで率直に語るのがいいでしょう。
内容のポイントとしては、
?@ 参列者へのお礼
?A 生前お世話になったお礼
?B 故人の思い出
?C 差し障りがなけれは故人の最後の様子
?D これからの決意、支援のお願い
などです。
火葬場に向かう
出棺が終わると火葬場へ向かいます。
火葬許可証がないと火葬できませんので、事前に葬祭業者に預けておくか、喪主が保管して忘れずに持っていきます。
「火葬許可証」は火葬終了後「火葬済」の判を押して返却されます。
また、納骨のときに必要になるので、必ず遺骨といっしょに保管します。
そのほか「遺影」と「位牌」も忘れないようにします。
遺族、近親者以外で火葬場へ同行したい人は、乗る車の都合もあるので、早めに申し出てもらいます。
とくにさしつかえなければ同行してもらいましょう。
その場の混乱を避けるために、乗車する車は前もって決めておくようにします。
車の分乗のしかた
霊柩車には位牌をもった喪主が同乗します。
僧侶が同行する場合は、ハイヤーに僧侶と遺影を持った遺族や高齢の遺族が乗ります。
その他の人はマイクロバスなどに乗り、3台で行くことが多くなっています。
火葬の間は
火葬許可証を提出し、柩は火葬炉の前に安置されます。
小窓を開けて最後のお別れをしますが、この時焼香を行うこともあります。火葬時間は短いところで40分、長いと1時間20分ほどかかります。
短いところでは茶菓を、長いところではこの時間に昼食をとることがあります。
拾骨
火葬が終わると、収骨室で遺骨を参列者全員で拾い、骨壷に収めます。
この儀式を拾骨、骨上げなどといいます。
喪主から、故人との関係の深い順に2人1組で1片の骨を箸で取り上げ骨壷に入れます。
拾骨のしかたは、地域によって慣習の違いがあります。
また、郷里の菩提寺や宗派の本山に納めたい、また、散骨するがお墓にも納骨したいときなどに、遺骨の一部を分けることを「分骨」といいますが、その場合は事前に葬祭業者に頼んで、分骨用の骨壷を別に用意してもらいます。
納骨に必要な火葬証明書は1枚しかないので、火葬場に分骨の数だけ火葬証明書を発行してもらい、納骨のとき持参します。
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